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Knowledge of Yamanashi Wine

山梨ワインを知る扉

1,000年の歴史を持つ葡萄生産地、山梨

「山梨ワインを知る扉」

山梨県の葡萄栽培。その起源には諸説ありますが、東西交易とともにオアシスの道(19世紀にドイツの地理学者リヒトホーフェンが名付けたシルクロード)を経て日本に来たという説が有力です。しかしながら、その葡萄品種が、なぜゆえ山梨で栽培されるに至ったかには、2つのおもしろい云われがあります。
奈良時代の高僧行基が修行中に、薬師如来が右手に葡萄をもって立つ姿を夢枕で見、その姿を木彫りにして、現在の「柏尾山大善寺」に安置しようとしたところで、葡萄の樹を発見し、これを薬草として育てたのが始まり、という説。
また、勝沼の雨宮勘解由(かげゆ)が、見たこともない蔓植物を発見、自生の山葡萄とは異なるものだったため、持ち帰り自宅に植樹し5年で実が実り採れた種が後の「甲州種」といわれる葡萄であった、という説。
このように伝わる説には伝承のおもしろみもありますが、いずれも奈良時代の出来事。現代に至るまで、ゆうに1,000年の歴史があるという事実が大変誇らしく、けっして新参者のワイン種域ではないことがわかります。

 

「山梨ワイン製造の歴史」

ワイン製造自体が本格化したのは明治時代

ざっと歴史をおさらいしましょう。
明治政府の高官たちはヨーロッパ諸国を視察したとき、ワイン産業の発展を目にし、殖産興業政策の一環としてワイン製造を奨励します。
[1870年] 甲府の山田宥教と詫間憲久が、山ぶどうと甲州ぶどうからワインを生産を始めます。こときのワインは赤ワインです。
[1877年] 勝沼に初の民間企業として、大日本葡萄酒会社が設立されます。設立メンバーの子弟だった高野正誠と土屋龍憲がワインの醸造技術の研修のためフランスへ派遣されます。帰国後、欧州系葡萄品種の栽培を始めましたが、その時の葡萄品種が山梨県の土壌に合わず、栽培は難航します。
しかし、このころすでに「自生の山葡萄」利用の赤ワイン、勝沼では「甲州種」利用の白ワイン醸造が開始され始めていました。山梨ワインは、結果この2種を基盤に、政策の後押しも手伝って発展を始めることになります。
[1902年] 関東をつなぐ笹子隊道(現JR東日本・笹子トンネル)の開通を機に輸送基盤が発展し、山梨産ワインの販売量も増加していきます。それにつれて、ワイン生産者も増加していきました。

そして昭和になると、第二次世界大戦時に、強制統合により山梨県のワイナリー数も激減しましたが、戦後復興とともに、
[1960年代] になると日本は甘味果実酒黄金時代を迎え、それに伴い山梨県のワイン生産量も急激に増加していきます。
[1970年代] になると、日本も甘味果実酒から本格的なワイン市場が拡大していき、山梨県内のワイン醸造企業も、欧州種のカベルネ・ソーヴィニオン、メルロ等の苗木を輸入し、これらの栽培を開始しました。研究の結果、技術も進歩し、明治時代に難航したヨーロッパ苗木の栽培も成功し、山梨のワイン醸造もさらに高度に発展を遂げることになります。
[1979年] 山梨県では、勝沼町ワイン原産地認定制度が条例化されました。
[1984年] 食事と相性がよい辛口が求められるようになり、やや甘口のフレッシュ&フルーティな方向性だった山梨ワインの飲み味も、辛口の飲み味のワインに修正されていきます。このとき、シュール・リー製法を用いた最初のワインがリリースされることになります。シュール・リー製法とは、Sur(上に)、Lie(澱:おり)という意味で、澱引きをせず、澱の上で熟成させるため、酵母由来の風味や旨味をワインに与えることができると言われている製法です。フランスではロワール地方の「ミュスカデ」が著名です。(一般的には白ワインは、発酵後に澱引きが行われます)
[1987年] 勝沼の小中12ワイナリーで構成された、「勝沼ワイナリークラブ」が発足します。その後山梨では、シュール・リー製法が一般化していきます。そして平成になり、優良なワイン生産原料葡萄品種として、日本初、山梨県の固有葡萄品種が世界に認められることとなります。

 

「世界が認めた葡萄品種」

[2000年頃] には、日本産ワインも次第に「ブーム」といった印象の注目を集めるまでに活性していきます。それは、以下にような経緯もあり、世界的耳目を集めるようになってきたからです。
[2003年] ボルドー大学の研究により、甲州葡萄に、柑橘系の香りの前駆体(ある物質が生成する前の段階の物質)である3MH(3メルカプト・ヘキサノール)が存在することが発見されます。
[2004年] カリフォルニア大学デイヴィス校が、甲州種のDNA鑑定を実施します。これによって、その出自が伝承の中でも不明であった山梨葡萄品種でしたが、甲州種は欧州系の「ヴィティス・ヴィニフェラ種」の系統と判明することになります。
[2005年] アメリカの世界的なワイン評論家、ロバート・パーカーJrが、甲州種ワインを初めて極めて高い評価をしました。
[2009年] いよいよ山梨県産ワインがさらに大きく動き出します。山梨県内のワイン生産者15社を中心に、「KOJ(Koshu of Japan)」が発足します。甲州ワインの品質向上と世界進出を目指し始めます。このころになると、醸造所を甲府盆地の中央部、または東部におくワイナリーも、農園の域を広げ、南アルプス八ヶ岳域にまでに展開させるようになります。また、そのような大型のシャトー型のワイナリーではなく、小規模な自社畑で小規模な生産をするドメーヌ型のワイナリーも増えてきたことはこのころの特徴であり、現在の山梨ワインの面白さを発展させているもう一つの牽引理由となります。
[2010年] 「OIV(国際ブドウ・ワイン機構)」が、甲州をブドウ品種として日本産初の リスト登録をします。同年「甲州市原産呼称ワイン認定制度」が施行されることになりました。
[2013年] さらにOIVは、「マスカット・ベーリーA」を同リストに登録します。
[2013年] 日本のワイン産地として初めて、国税庁長官から原産地名を保護する「地理的表示」に「山梨」を指定しました。これにより一定の生産基準、官能検査を経ないワインは「山梨」を掲げることできなくなりました。
そして、現在に至ります。
今や、山梨は、その歴史的研究と技術により、欧州種を出自とする独自の葡萄品種を持ち、それを軸に多様なワインを生産し、世界的に注目されるようになってきているのです。

 

「北緯30度~50度の日本」

ワインの生産は、地球上の全域で、北緯30度~50度の帯域が最適とされています。それは、風の動きによる空気の変化とともに、温度、湿度が保たれ、代表的な葡萄品種の恵まれた生育を行うことに最適な環境が整う帯域が、ほぼ、この帯域に集中していることによります。
葡萄品種には、葡萄品種が最適に育つための環境として、「空気の動き」がとても重要とされています。気温もさることながら、葡萄品種が生育するためには、生育時期したがって、最適な湿度が重要となっていきます。そのために、季節によへる風の動きがとくに影響を与えます。湿気を帯びた風と、乾いた風が、絶妙に混ざり合いながら、葡萄品種の生育を助けるのです。日本は、この「北緯30度から50度」の帯域の中に全国土があります。とくに「山梨」は中でも、南アルプス山脈、富士山、箱根山等に囲まれた、盆地を形成し、この風の動きも、さらに絶妙に葡萄品種の生育に味方している地域なのです。まさに山梨の「テノアール」(土壌、土地)が葡萄栽培に向いた良質なものであったのです。また山梨ワインの発展は、山梨独自の「テノアール」を活かした栽培技術の工夫と収斂に栽培農家たちがその指向を最適化させていった結果とも言えます。

 

「GI YAMANASHI 地理的表示YAMANASHI」

GIは、「GEOGRAPHICAL INDICATION」。地理的表示を意味します。
今、世界各国には「地理的表示」保護制度があります。各国家が「地理的表示」をしたその農業生産物、食品の生産地域を国家の指定財産として、高品質、安定生産量を保証できる生産地を認定し、またその高品質な、農業生産物、食品を、各国家間で守りあうという貿易条約も結ばれています。「山梨」は、日本初のワイン「地理的表示」指定されたワイン生産地域として認められています。ヨーロッパ諸国に輸出されても、「GI YAMANASHI」表示されたワインは他のワインと区別されます。
今や「YAMANASHI」は、世界に通用する銘柄ワインとして各国に流通しているのです。

 

「山梨のワイン生産地域」

山梨は、「甲州種」、「マスカット・ベーリーA」種という世界の学術研究でも認められた日本固有の葡萄品種を胞します。さらに「ブラック・クィ―ン」種を含めて、日本の3大固有種です。この3品種の栽培と醸造の発展、これは、1,000年の歴史と、明治以降のたゆまぬ生産者たちの努力の結晶といっても過言ではありません。
山梨には、80をゆうに超える多くのワイナリーがあります。これは日本各県の中で最大のワイナリー数です。これらのワイナリーは、これらの葡萄品種を軸に独自の生産ノウハウで醸造を行っています。山梨県域の中でも生産地域は5つに分けられ、それぞれの特徴をもったワイナリーが存在します。
特に、甲州、勝沼地域により多くのワイナリーが存在し、この地域のワイン向け葡萄品種の生産に特に適した地域であることが伺われます。

 

「山梨ワイン原料、山梨葡萄の代表品種」

1.甲州種

近年のDNA解析で、欧州系「ヴィニティス・ヴィニフィラ種」に属していることが判明しています。しかし、その出自にはいまだ「謎」が多く、なぜ欧州系のルーツを持つこの品種が、日本に固有種として存在してきたのかは、いまだ解明されていません。が、葡萄品種の解析で世界的に著名なカリフォルニア大学デイヴィス校のファンデーション・プラント・サービスの分析によると、欧州種の中でも「竜眼」(中国)に近い東洋系欧州種ということがわかってきています。欧州種と中国の野生葡萄が何かしらのきっかけで交雑し、誕生したのではないか、と考えられています。しかしながら、この品種が奈良時代、平城京からも遠い甲斐になぜ存在したのか、大いなる謎とされています。甲州種の果皮は、薄桃色をしています。本来の甲州種の個性は、酸味は弱めでありながら、独特のふくよかさと、まろやかな味わいです。そのため仕上がりワインは、軽めの白ワインにされることが多いものでした。しかし、寒暖差のある標高が高い土地で育てられたものでは、酸味が強く、力強い辛口の仕上がりワインを造ることができるようになっています。また、樽の香り(アロマ)を付加した重厚な仕上がりの白ワインも造られるようになっています。果肉を引き立てると、ロゼともまた違った柔らかな仕上がりワインも造られています。このように、甲州種は、さまざまなバリエーションの仕上がりワインを造ることを実現しており、この多様性が近年の世界のワイン通に好まれ高い評価と実績を産んでいる、日本の固有品種の雄と言える品種なのです。

2. マスカット・ベーリーA種

その出自は、川上善兵衛の手によって、アメリカ産種のベイリー種と、欧州産種であるマスカット・ハンブルグ種を交雑し、1931年に日本で開発された品種です。川上善兵衛は、新潟県上越市の岩の原葡萄園の創業者で、1870年代に勝海舟の薦めによって葡萄栽培とワイン醸造を始めた日本国産ワインの父と言われる人物です。約10,000種の品種交雑を試み、その中から22品種の優良品種を産みだしたことで著名です。川上は寿屋(現サントリー)の創業者である鳥井信治郎と共に山梨に、寿屋山梨農場(現・登美の丘ワイナリー)を設立し、このときマスカット・ベーリーA種を山梨県に導入しました。川上は各地の葡萄栽培農家の要請でこの葡萄品種を提供したため、現在は山梨県内はもとより、県外でも多く栽培される日本の重要な固有品種になっています。マスカット・ベーリーA種は、濃い桃色の厚い果皮が特徴で、香り(アロマ)はいちごのようと言われ、酸味は弱く、渋味は特徴のあるまろやかさです。着芽が遅く、春の霜をさけることができ、また果実の熟すのは早いため、秋の霜も避けられます。寒さや湿気の多さにも強く、菌性の病害への耐性も強いことから生産性に良い葡萄品種とされています。糖度が20度にも達するため、当初はそれを活かした甘口な仕上がりワインが造られてきましたが、近年は、この品種由来の果実味を引き出し辛口に仕上げたワインも実現されています。

甲州種とマスカット・ベーリーA種の栽培は、山梨県において日本一の生産量を誇ります。この2種で山梨県産葡萄品種の80%をも占めます。白ワイン種が60%、赤ワイン種が40%の割合となっています。

3.ブラック・クィーン種

その出自は、川上善兵衛の手によって1927年に、アメリカ産ベイリー種と欧州産のゴールデン・クィーン種を交雑することによって開発された日本固有の赤ワイン用葡萄品種です。果皮が濃い黒紫色である特徴からこの名が名付けられました。酸味が豊かで、なめらかなタンニンと、スパイシーな風味が特徴です。辛口の仕上がりワインが造られます。収穫期を遅らせ、酸味を軽減させ、この品種由来の果実味を引き出したワインも造られます。香り(アロマ)は薄目ですが、樽熟成でスパイシーな風味を抑え、その個性が引き出されることもあります。日本のオリジナル品種として近年、世界でも注目されています。

山梨ワインは、これら3つの固有葡萄品種のみで醸造されるもの、そして、欧州種であるカベルネ・ソ―ヴィニヨン、ピノ・ノアール等と混合し、醸造されるもの等、多彩なワイン銘柄を生み出しています。

 

世界のワイン用葡萄品種を知ろう

下記より、詳しく知りたいワイン用葡萄品種を選択してください。

●は、山梨県で生産しているワイン用葡萄品種です。
(日々新しい情報を更新しておりますが、情報が古くなってしまっている可能性もあります。お気づきの点はお問い合わせください)

 

A

アギヨルギティコ

アギヨルギティコ(Agiorgitiko)は、ギリシャのペロポネソス半島で主に栽培される赤ワイン用の品種です。主に仕上がりワインは深い紅色のワインとなり、別名「ヘラクレスの血」とも呼ばれています。主な産地はネメア(Nemea)です。

アルバリーニョ

アルバリーニョは、主にイベリア半島で栽培されている白葡萄品種です。原産地はスペイン・ガリシア地方域です。

アルネイス

アルネイス (Arneis)は、イタリア北西部ピエモンテ州を中心に栽培されている白部同品種です。古くは、黒葡萄のネッビオーロと混植、混醸されていた歴史があります。20世紀半ばに消滅しかけましたが、1980年代以降に人気を回復しています。白い花や洋梨の香り(アロマ)をもち、辛口の白ワインだけでなく甘口のパッシートにも使用されています。

B

バルベーラ

バルベーラ (Barbera)は、イタリアで栽培される黒葡萄で、北西のピエモンテ州域を主産地とします。その実が多産なために比較的安価なワインへの使用が多いものの、近年醸造所の工夫と努力で、良質な仕上がりワインの生産に成功し、再評価されつつある品種です。タンニンが少なく、酸味の強い赤ワインとなることが特徴です。イタリアの他地域では、カリフォルニア域での栽培が多い品種としても著名です。

ビジュノワール

ビジュノワール (BijouNoir)は、山梨27号(甲州三尺×メルロ)とマルベックの交配から生み出された赤ワイン用の醸造専用品種です。その味わいの特徴は、タンニンが多く、濃い味わいとコクに恵まれたものです。(命名登録登録番号:ブドウ農林23号/2006年10月4日、品種登録登録番号:第16781号/2008年3月18日)

ブラック・クィーン

ブラック・クィーン(Black Queen)は、日本で栽培されている赤ワイン用品種であり、川上善兵衛が、ベーリー(Bailey)とゴールデン・クィーン(Golden Queen)の交配により作りあげた、「川上品種」の一つとして著名な品種です。濃い紫色の酸味が強い仕上がりワインを作り上げることが特徴です。

ボンビーノ・ビアンコ

ボンビーノ・ビアンコ (Bombino bianco)は、イタリアのアドリア海沿岸諸州、特にプッリャ州で栽培が盛んな白葡萄品種です。イタリアでは大変多い収穫量を誇ります。仕上がりワインの個性が薄くなる傾向がある品種であることが弱点ですが、イタリアでは馴染みの深い品種です。エミリア=ロマーニャ州ではパガデビット (Pagadebit) 、ラツィオ州ではオットネーゼ (Ottonese) などの現地呼称で呼ばれています。

C

カベルネ・フラン

カベルネ・フラン (Cabernet Franc)は、赤ワイン用の品種で、同じく「カベルネ」の名を冠するカベルネ・ソーヴィニヨンよりも、仕上がりワインは柔らかな渋みを持ち、やや素朴な味わいがあります。ボルドーワインに混交され使用される品種でもあります。この品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンと比較してより冷涼な気候でも栽培することが可能なため、フランスではボルドー・サンテミリオン地区域やロワール地方地域で栽培されています。

カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon)は、世界的に最も著名な赤ワイン用品種です。フランスではメドック地区に代表される、ボルドー地域の最も代表的な品種の一つです。カベルネ・ソーヴィニオンは今や世界各地も栽培されていますが、温暖な気候を好むことから、多くの栽培地域は比較的温暖な地域に集中しています。ソーヴィニヨン・ブランとカベルネ・フランの自然交配によって誕生したといわれています。 現在は、イタリアのトスカーナ地方、チリ、オーストラリア、アメリカ、日本など、世界各地で栽培されています。果皮はタンニンが多く深みのある色合いをしています。涼しく冷涼な地域のカベルネ・ソーヴィニオンは、タンニン、酸、共に引き締まった強い渋味があり濃厚で、重厚とも表現される仕上がりワインとなることが特徴です。温暖な地域で栽培されたカベルネ・ソーヴィニオンは、厚みがあるといった印象を受ける濃厚な仕上がりワインになります。品種の個性として雑味が多く、比較的長期の熟成を必要とする品種です。香り(アロマ)は、ブラック・チェリー、カシス、ハーブ、杉といった表現がされます。渋味の強さを緩和するため、メルロー種等の他の品種との混醸や混和(混交)で使用されることも多い品種です。歴史的にこの品種のことを「ヴィドゥーレ」「ヴェデーレ」(「硬い」の意)とも呼んでいました。まさに、この品種の特徴が感じられます。ソーヴィニヨン・ブラン同様メトキシピラジン(Methoxypyrazine)に由来する香り(アロマ)があります。

カナイオーロ

カナイオーロ(Canaiolo)は、イタリア中部、特にトスカーナ州域で栽培されている赤ワイン用の品種です。カナイオーロ・ビアンコと区別するためカナイオーロ・ネロと呼ばれることもあります。現在はキャンティのように、サンジョヴェーゼとのブレンド使用で補助的に使用されることが多い品種です。

カリニャン

カリニャン(Carignan)は、南フランスのラングドック等の地域でよく栽培される黒葡萄の品種です。日照時間が長く乾燥した土地での栽培に適している品種です。仕上がりワインは通常フルボディですが、この品種でのプレミアムワインも生産されています。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズのような他の品種と比べ、香り(アロマ)やフレーバーに品種の個性がそれほど強いものはありませんが、比較的育てやすい品種であるため比較的栽培地域も広く、多様なワイン生産に使用される品種です。

カルメネール

カルメネール(Carmenere)は、フランス・ボルドーを原産地とする品種です。赤ワイン用に交配された品種です。しかし、ボルドー地方では、結実が悪かったため現在この地域では栽培されていません。近年、チリで栽培に成功し、今やこのチリ国土地域を代表する品種になっています。チリ産カルメネールの香り(アロマ)は、青ピーマン、ラズベリー、ブラックプラム、ブラック・ベリーと表現され、タンニンのまろやかな渋味、豊かな果実味とコクのある味わいの仕上がりワインと評され、大変注目されています。

シャルドネ

シャルドネ (Chardonnay)は、フランス、ブルゴーニュ地方原産の品種です。世界的に最も著名な代表的白ワイン品種の一つです。元々は、フランスのブルゴーニュやシャンパーニュ地方域に代表されるような、涼しい気候の地域で栽培されていた品種ですが、多様な気候でも結実することがわかり、現在では世界中の広範囲な地域で栽培されています。仕上がりワインとしては、一般にシャルドネ単品種ワインが多く造られています。オーストラリアではセミヨンとよく混交され製品化されています。その特徴として樽のオーク香との相性が良く、樽での醗酵や熟成により、樽のオーク香が付加され製品化されることが多い品種です。シャンパンの原料としても著名で、発泡系ワインでの使用も多い品種です。シャルドネ単品種のワインとしては、フランスのシャブリ(Chablis)が最も著名です。

シュナン・ブラン

シュナン・ブラン(Chenin Blanc)は、主にフランスのロワール地方域で栽培される白ワイン用葡萄品種です。貴腐化しやすい品種とされています。この品種からはテーブルワイン、スパークリングワイン、甘口ワイン等色々なスタイルのワインが生産されています。南アフリカでは重用され、定番的な品種となっています。

コロンバール

コロンバール(Colombard)は、白ワイン用葡萄の一種で、北米では「フレンチ・コロンバール」という呼称でよく知られています。北カリフォルニアのワイン生産者の間では、旧来のワイン用葡萄は甘口と辛口の特性を併せ持ったフルーティなワインとして醸造されていました。その自然な酸味から、廉価なテーブルワイン用の白ワインの主品種としてカリフォルニア域で生産されています。フランスでは伝統的にシャラント(Charente)とガスコーニュ(Gascogne)で栽培されており、前者ではコニャック、後者ではアルマニャックとして醸造されています。今日でも一部のボルドーAOC(原産地呼称:Appeellation d’Origine Controlee)では白ワインの混交用に使われているほか、ガスコーニュでもヴァン・ド・ペイ(地方の地元消費ワイン)に使われています。現在では、南アフリカでも広く栽培されているほか、オーストラリアでも少量が栽培されています。

D

ドルペッジョ

ドルペッジョ (Drupeggio) はカナイオーロ・ビアンコ (Canaiolo bianco)の別名呼称でも知られる葡萄品種で、主にイタリア中部域で栽培されています。似た名前の黒萄品種であるカナイオーロ・ネロの色素変異体品種ではないとされています。ウンブリア州のオルヴィエート DOC(イタリア品質レベル2)のワインに使用されており、また白ワインの混交用品種として使用されることも多い品種ですが、トスカーナ州のカルミニャーノ DOCG(イタリア品質レベル1)のように赤ワインにブレンドされることもある品種です。

F

フィアーノ

フィアーノ(Fiano)は、おもにイタリア南部で栽培されている白葡萄品種です。収穫量が少なないため、栽培が途絶えかけた歴史があります。20世紀後半にカンパーニャ州の生産者の努力により復活し、近代的醸造技術の導入によって品質の向上も実現しています。現在では、オーストラリアでも栽培量が増加しています。蜂蜜やスパイスなどの強い香り(アロマ)をもち、長期熟成にも適している品種です。

フルミント

フルミントは、ハンガリー北部トカイ地方原産の白葡萄品種です。酸味が個性で、力強い辛口の仕上がりワインを造ります。貴腐もしやすく、生産年によっては、貴腐ワインになります。このワインは極めて甘口です。

G

ガメ(ガメイ)

ガメ (Gamay) は、主にフランスのボジョレー(Beaujolais ) 域で栽培される赤ワイン用の品種です。正しくは「ガメ・ノワール・ア・ジュ・ブラン」(Gamay Noir à Jus Blanc; 白い果汁を持った黒い果皮のガメ)といい、赤い果肉の別種「ガメ・タンテュリエ」(Gamay Teinturiers)と区別されています。果皮黒紫色をしており、香り(アロマ)は、イチゴ、ラズベリーと表現され、タンニンは少なく、フレッシュなフルーティさが立ちあがる軽快な味わいの仕上がりワインになります。主にライトボディで若いうちに飲まれるワインが作られます。その性質は、遅い霜に遭っても「予備の」芽が芽吹いて回復が早い特長があります。ボジョレ・ヌーヴォ―はこの葡萄品種から造られます。

ゲヴュルツトラミネール

ゲヴュルツトラミネール (Gewürztraminer)は、白ワイン用の葡萄品種で、果皮の色の濃さと強い芳香が特徴です。主にフランスのアルザス域にて栽培され、フランスでは唯一ドイツ語由来の名称の認められた品種となっています。ゲヴュルツの意味は「スパイス」です。果皮の色に由来する色の濃い白ワインが造られ、バラや、ライチ、ラベンダーにたとえられる独特の強い香り(アロマ)を持つことが特徴です。

グレコ

グレコ (Greco)は、イタリアで栽培されている一連のワイン用葡萄品種の呼称であり、白葡萄品種と黒葡萄品種の両方に用いられている呼称ですが、グレコといえば通常は白葡萄品種のほうを指します。ギリシャが起源ではないかといわれている品種です。カンパーニャ州を中心に栽培されグレコ・ディ・トゥーフォ DOCG(イタリア品質等級1)に用いられるグレコ種と、カラブリア州域を中心に栽培されるグレコ・ビアンコ種とは、区別して扱われています。

グレコ・ネロ

グレコ・ネロ (Greco Nero)は、主にイタリア南部で栽培されている赤ワイン用の黒葡萄品種です。カラブリア州域でよく栽培されている品種で、ガリオッポとの混交に用いられることも多い品種です。白ブドウ品種として著名なグレコよりも実栽培面積は広く栽培されている品種です。

グルナッシュ/ガルナチャ

フランス南部ではグルナッシュ (Grenache) 、またはスペインではガルナチャ (Garnacha)と呼称される品種です。原産地は、スペインです。今や、メルローに続き栽培面積世界第二位の黒葡萄品種です。香り(アロマ)は、ブラック・チェリー、プラム、黒イチジク、ハーブと表現され、仕上がりワインはタンニンが軟らかで、主張しすぎない優しいスパイシーなフレーバーは、土のフレーバーとも表現される個性があります。酸味は控えめで繊細なタンニンとフル―ティさが印象的なフルボデイの仕上がり赤ワインが造られます。単独で使われることは少なく、主として南フランスの「シャトーヌフ・デュ・パープ」(Châteauneuf-du-Pape)に代表されるローヌ渓谷域や、スペインのリオハ(Rioja)域で、より色の濃い他の品種と混交使用されます。テンプラニーニョと混交されることが多い品種です。フランスでは「グルナッシュ・ノワール」(Grenache Noir)、スペインでは「ガルナチャ・ティンタ」(Garnacha Tinta)のそれぞれ別名があります。その性質は、日照時間が長く乾燥した土地でよく育つ特性があります。熟成が早いことも特徴です。オーストラリアではシラーズとブレンドされることが多い品種です。イタリアのサルデーニャ島域ではカンノナウ(Cannonau)と呼ばれ、他地域のものと異なり、タンニンの強い仕上がり赤ワインを生み出します。「カンノナウ・ディ・サルデーニャ」(Cannonau di Sardegna)は、カンノナウ90%以上で作られるDOC(イタリア品質レベル2)ワインの主葡萄品種として知られています。
煮込んだ肉料理との相性が抜群と言われます。

K

ケルナー

ケルナー(Kerner)は、トロリンガー(Trollinger)とリースリングとによる交配種で、1969年にドイツのヴュルテンベルクで作出されました。リースリングほど洗練されていない印象がありながらも良質の白ワインを造り出します。日本でも寒冷地で栽培されています。

甲州

甲州(こうしゅう) は、1,300年もの歴史を持つ日本固有の葡萄品種です。山梨県を中心に栽培されている、近年世界的にも著名になった白葡萄品種です。永く中国原産の「竜眼」(龍眼 ロンガン)の変種と考えられていました。現在も由来については不明な点が多いものの、近年のDNA鑑定により、ヴィニフェラ75%×ヤマブドウ15%の交雑種であろうとされています。生食用としても流通しているため、調達経費が高く醸造者泣かせとも言われています。果皮は淡い赤紫色をしており姿も美しい葡萄品種です。ワイン醸造に適した強い酸味を持ち、日本で栽培される葡萄品種としては、今後のさらなる将来性をも感じさせている品種です。

M

マカベオ

マカベオは、スペイン原産の白葡萄品種です。「ビウラ」という呼称もあります。豊から果実味が特徴で、仕上がりワインにしっかりとした骨格を与えてくれます。カバに使われる代表品種です。

マルベック

マルベック(Malbec)は、フランスのボルドー地方が原産地の品種です。主にボルドー地方で栽培され、また南西地方ミディ=ピレネー地域圏ロット県カオール周辺で栽培されており「コ」(Cot)とも呼称されることもある、赤葡萄品種です。果皮は濃色で、香り(アロマ)は、ブラックチェリー、ブルーベリー、バニラ、アイリス、ヴァイオレットと表現されます。タンニンは強くコクがあり、酸味は弱めの仕上がりワインが造られます。まさに黒ワイン、「カオールの黒」とも呼ばれます。近年アルゼンチンでも多く栽培され、良質な仕上がりワインが造られ注目されています。栽培面積に対し、収量は少なく、結実が悪いため安定した収穫量が得ずらく、生産者泣かせな品種でもありとされています。

マルヴァジーア

マルヴァジーア(Malvasia、Malvaziaとも)は、主に地中海地域やマデイラ島などで広く栽培されている葡萄品種の系統であり、また総称です。多くの亜種が存在し、地域によって品種の性格が微妙に異なり、白ワイン用のマルヴァジーア・ビアンカ (Malvasia bianca)やマルヴァジーア・ディ・カンディア (Malvasia di Candia) 、甘口デザートワイン用のマルヴァジーア・デッレ・リーパリ (Malvasia delle Lipari) 、赤ワイン用黒ブドウ品種のマルヴァジーア・ネーラ(Malvasia nera) 、甘口酒精強化ワインのマデイラ「マルムジー (Malmsey) 」用のマルヴァジア・カンディダ (Malvasia Candida)と、地域による品種類別の微妙な違いがありますが、これらはみな同品種と捉えられています。別名呼称が多数あり、葡萄品種だけでなくワイン銘柄についても葡萄呼称に関連した混乱が多いようです。とくにマルムジーという名称のものは歴史的経緯が複雑なため、本来のマルムジーア種のものであるか、はっきりしないと考えられています。

ムロン・ド・ブルゴーニュ

ムロン・ド・ブルゴーニュ (Melon de Bourgogne)は、フランスのロワール川沿いの地域で栽培される白ワイン用の品種で、1709年の寒波でこの地域の葡萄品種が全滅したことから、耐寒性が高いブルゴーニュ原産のこの品種が導入されました。現在は、ほぼ他の地域での栽培はありせん。イギリスの女性ワイン評論家のジャンシス・ロビンソンがこの品種について、「その主な特性は、殆ど特性が無いこと」とも評していますが、またそれが良い点とも理解されている品種です。この品種から造られることで知られる「ミュスカデ」(Muscadet)と呼ばれるワインの味わいの特徴は、軽くて爽やかな味わいです。ところが、これが良い点でもありながら、また弱点ともされ、品種特性の軽さを補おうと「シュル・ル・リー」製法を経て商品化されることも多く、この製法に由来する微炭酸の残るワインも多くあります。その香り(アロマ)は「パンのイースト香」などに例えられます。この品種自体も「ミュスカデ」と呼ばれることがありますが、よく混同されるアルザス地方の「ミュスカ」種とは別種のものです。

メルロー

メルロー(Merlot)は、フランスのボルドー地域が原産地です。特に著名なものは、フランス、ボルドー地方のサン・テミリオンと、ボムロールです。今や世界各地で栽培され、赤ワイン用品種としては世界最大の栽培面積で栽培されています。「ボルドー・ブレンド」と呼ばれる製品の原料としても使われ、カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることもあります。果皮は深みのある色合いで、香り(アロマ)はプラム、ブラックチェリー、チョコレートの印象と評され、味わいは、きめ細かいタンニンとまろやかさが特徴です。爽やかで、軽口、滑らかな舌触りの仕上がりワインになります。また、ボルドーのサンテミリオン(Saint-Emilion)やポムロール(Pomerol)といった地区では、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも多く混交され、とくにポムロール地区の「シャトー・ペトリュス」は、しばしばこの品種のみで造られるワインがあります。また、日本でも長野県の塩尻市桔梗ヶ原地区などで栽培されていますが、その性質は、土壌の塩分に弱く、そのために栽培域が限定されます。

ムニエ

ムニエ (Meunier) は、主にシャンパーニュ(Champagne)域で栽培いられる黒葡萄品種の一つで、ピノ・ノワールの変異種とされています。フランスでは「ピノ・ムニエ」(Pinot Meunier)とも呼ばれ、またドイツにおいては「シュヴァルツリースリング」(Schwarzriesling)という名で知られています。

モンテプルチャーノ

モンテプルチャーノ(Montepulciano)は、イタリア中部および南部で栽培されている黒葡萄品種です。イタリアの原産品種としてはサンジョヴェーゼに次ぎ栽培地域も広く、モンテプルチャーノと他品種をブレンドしたD.O.C./D.O.C.G.(イタリア品質レベル2、1)認定ワインも多くあります。モンテプルチャーノ・ダブルッツォ DOCが著名です。

モスカート

モスカート(Moscato)はイタリア産マスカットで、主にピエモンテ州で作られている白葡萄種です。この品種を使用したスパークリングワインのアスティ・スプマンテとモスカート・ディ・ピエモンテは、ともに強いマスカット香(アロマ)と快い甘みを持ったワインで、DOCG(イタリア品質等級レベル1)ワインに指定されています。フランスではミュスカ(Muscat)とよばれ、南仏の甘口ワイン、VDN(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)に使用されれています。また、アルザスでは仕上がりワインを辛口に仕立てられることが多い品種です。

ムールヴェードル

ムールヴェードル(Mourvèdre)は、フランス南部のほかにスペインやオーストラリアで栽培される黒葡萄品種です。スペインではモナストレル(Monastrell)、豪州ではマタロ(Mataro)と呼ばれます。その性質は、暑く乾燥した土地で良く育ち、芽吹きが遅いうえ遅霜に強いという生産者には比較的扱いやすい品種です。若いワインは渋みが強いので他の品種と混交使用されることが多い品種です。オーストラリアではグルナッシュ、シラーズとブレンドされ、各品種の頭文字を取って「GSM」と称される銘柄が多くあります。長期熟成も可能で、この品種のみから作られた高級ワインも存在します。

ミュラー・トゥルガウ

ミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau)は、19世紀末のスイスのトゥールガウ州で生まれ、ドイツのヘルマン・ミュラー博士によって育種、開発された品種です。収穫量は多い品種です。味わいは、酸味が比較的乏しいのが特徴でもあります。リースリングとシルヴァーナー(Silvaner,Sylvaner)の交配から生まれたとされていますが、これを否定するDNA解析結果も報告されており、その報告からはシルヴァーナーではなく、ドイツで「グーテーデル」(Gutedel)と呼ばれる「シャスラ」(Chasselas)種であった可能性が高いとされています。本来の原生域よりも、より比較的新しい栽培地域のものが良質な商品化の成果を出している品種です。日本でも北海道や山形、山梨などで栽培されていることで注目されています。

ミュスカデ

ミュスカデは、フランス原産の白葡萄品種です。フランスのロワール川下流域の河口近辺で栽培されています。爽やかな風味の辛口の仕上がりワインを造ります。澱(オリ)とワインを接触せて作る「シュール・リー製法」で造られるワインにも使用されます。

マスカット・ベーリーA

マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)は、日本で栽培されている醸造・生食兼用の品種で、日本の赤ワイン生産において主要な品種であり著名な代表品種です。アメリカ系であるベーリー(Bailey)と欧州系であるマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)の交配によって川上善兵衛の手によって新潟県で開発された欧米雑品種です。川上善兵衛が日本の風土に適したワイン用品種を作るために品種改良を重ねて作りあげた、「川上品種」の一つとして著名な品種です。鮮やかな赤色を呈し、比較的渋味の少ないみずみずしい仕上がりワインを作り上げます。香り(アロマ)は、キャンディ、ストロベリー、ラズベリーの印象と表現され、甘い香り(アロマ)が特徴です。味わいは、やさしく、フルーティで軽やか。川上が山梨県甲府市に農園を開設したとき山梨県に持ち込まれ、現在はその栽培量で山梨県の代表品種とも言えます。日本国土全体における葡萄品種別栽培面積で常に上位の栽培面積を誇ります。

マスカット・オブ・アレキサンドリア

マスカット・オブ・アレキサンドリアは、フランス原産の白葡萄品種です。フランスのラングドッグ・リューション地方で多く栽培されていますが、今や世界各地で栽培されている品種です。ミュスカの一種の葡萄品種です。独特の香り(アロマ)を持ち、甘い風味を持ちます。このため、この独特の風味と香り(アロマ)を付与するためのブレンド用に混交使用されることが多いのですが、この品種のみで辛口の仕上がりワインも造られます。

N

ネッビオーロ

ネッビオーロ(Nebbiolo)は、主にイタリアで栽培される赤ワイン用葡萄品種です。果皮は、濃い「ガーネット色」と表現され、酸、タンニンのしっかりした長期熟成型の仕上がりワインが造られます。ピエモンテ州域の最高級ワインである「バローロ」や「バルバレスコ」のが造られる代表品種で、これらの原料品種として著名です。

ネグロアマーロ

ネグロアマーロ (Negroamaro) は主にイタリアのプッリャ州域で栽培されている品種です。

ネロ・ダヴォラ

ネロ・ダヴォラ (Nero D'Avola)は、イタリアで栽培される黒葡萄で、シチリア島域を代表する黒葡萄品種である。仕上がりワインは、非常に色が濃く力強いワインとなることで知られています。安価なブレンドワインの原料品種として、イタリア各地やフランスなどで使用されていましたが、近年この品種を中心とした良質なワインが生み出されるようになり、またちがった評価を得ています。

ノジオーラ

ノジオーラ(Nosiola)は、イタリア北東部のトレンティーノ=アルト・アディジェ州域を中心に栽培されている白ワイン用葡萄品種です。辛口の混交ワインやセパージュワインのほか、ヴィーノ・サントと呼ばれるヴィン・サント方式(発酵の過程で以前造られたワインを加え発酵を促進させる方法)で製造されるデザートワインにもよく用いられている品種です。

バロミノ

バロミノは、スペイン南部のアンダルシア地方原産の白葡萄品種です。シェリーの原料品種として著名です。例外はあるものの、ほとんどのシェリーはこの品種で製造されます。

P

プティ・ヴェルド

プティ・ヴェルド(Petit Verdot)はフランス・ボルドー域の黒葡萄の品種の1つ。その性質は、実が熟するのが他の品種より遅いことが特徴です。色が良く、酸味とタンニンに富みます。ボルドーでは他の品種と混交し少量使われることが多いのですが、近年のオーストラリアではこの品種のみで仕上げられたワインも多くあります。

ピノ・ブラン

ピノ・ブラン(Pinot Blanc)は、ブルゴーニュ原産の白葡萄品種で、原産地を代表する黒葡萄ピノ・ノワールの変異種の一つです。主に白ワインの製造に使われますが、ブルゴーニュの赤ワインにも配合され使用されることもあります。穏やかな香りが特徴で、フランスではアルザス地方で多く栽培されています。ドイツや北イタリアでも栽培され、ドイツでは「ヴァイサーブルグンダー」(Weißerburgunder)、イタリアでは「ピノ・ビアンコ」(Pinot Bianco)のという名で呼ばれています。

ピノ・グリ

ピノ・グリ(Pinot Gris)は、ブルゴーニュ原産の白ワイン用品種です。欧州葡萄(ヴィニフェラ種 Vitis Vinifera)の一種です。青灰色の葡萄のピノ・ノワールの枝変わり種と考えられており、灰色葡萄(藤色やピンクなどの葡萄)など、同じ樹に異なった色の実がなることがあります。フランスではアルザス地方で多く栽培されています。イタリアでは「ピノ・グリージョ」(Pinot Grigio)、ドイツでは「グラウブルグンダー」(Grauburgunder)または「ルーレンダー」(Ruländer)という呼称がついている品種です。比較的多様な気候風土で栽培が可能で、地域によってはシャルドネを超える栽培量が栽培され、今やピノ・グリの栽培は世界各地に拡がっています。「グリ」、「グリージョ」は「灰色」を意味します。果皮は、灰色を帯びた薄紅色をしています。香り(アロマ)は穏やかで、軽めの印象でありながら、厚みのある味わいの辛口ワインに作られることが特徴です。料理に合わせやすいとされ、地中海料理や日本食などの料理とともに料理の旨味を引き出すワイン用葡萄品種と重用されています。

ピノ・ノワール

ピノ・ノワール (Pinot Noir)は、フランスのブルゴーニュ地方域を原産とする代表品種の一つです。今や世界的に栽培されている品種として著名です。特徴は青紫色を帯びた果皮を持ち、比較的タンニンは少なめで、滑らかな味わいの仕上がりワインが造られます。品種の性質は、冷涼な気候を好み、温暖な気候の下では色やフレーバーが安定しないため良質な実の栽培は難しいとされています。イタリアでは「ピノ・ネロ」(Pinot Nero)、ドイツでは「シュペートブルグンダー」(Spätburgunder)の呼称で呼ばれ、多く栽培されています。もともと栽培する土地を選び、菌にも弱く手間がかかり、結実が難しいとされていましたが、現在では、アンリカ、ニュージーランド、オーストラリアも代表栽培地域となっています。遺伝子的に不安定で変異種が少なくないことから、ピノ・ノワール種の中には、緑みを帯びた黄色の果皮を持つピノ・ブラン(Pinot Blanc)や、褐色のピノ・グリ(Pinot Gris)と呼称するものもあり、同じ樹に異なった色の果実がなることも特徴です。フランス以外では、近年ニュージーランドでの栽培が盛んで、寒冷地を中心に栽培されています。仕上がりワインはライトボディで、味わいの特徴は弱めの渋味で、ほどよい酸味、またその繊細な香り(アロマ)は、イチゴ、ラズベリー、チェリーという印象を持ち、フレーバー感が強めです。シャンパンの原材料品種としても著名です。 近年の遺伝子研究の成果により、シャルドネの親にあたることが証明されています。

ピノタージュ

ピノタージュ (Pinotage) は、ピノ・ノワールとエルミタージュ(サンソー)の交配から生み出された南アフリカ域の品種で、その特徴は、絵の具の様な香りを持った仕上がり赤ワインを作る品種であることです。

R

レフォスコ

レフォスコ(Refosco) は、アドリア海北側沿岸域を中心に栽培されている一連の葡萄品種の総称です。そのほとんどが黒葡萄ですが、レフォスコ・ビアンコ (Refosco Bianco)という呼称の白ブドウ品種も存在します。レフォスコ系列種とされている葡萄品種は複数ありますが、類縁関係がないものも多く、近年のDNA鑑定の結果、タッツェレンゲなど他品種の別名とされていた「レフォスコ」も存在しています。世界のワイン市場でもっとも有名なレフォスコはレフォスコ・ダル・ペドゥンコロ・ロッソ(Refosco dal Peduncolo Rosso) です。レフォスコ・ディストリア (Refosco d'Istria) は、レフォシュク (Refošk) やテラン (Teran) 、カニーナ (Cagnina)などの生産地域現地名が呼称に入ります。

リボッラ・ジャッラ

リボッラ・ジャッラ (Ribolla Gialla)は、主にイタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州およびスロベニア西部で栽培されている白ワイン用葡萄品種です。19世紀以降1990年代までその栽培は減少し続けあわや絶滅の危機に瀕した歴史があります。ところが21世紀を超えて人気が復活し、その栽培量も増えています。ロザッツォDOCG(イタリア品質レベル1)のワインに使用され、またフリウリ・コッリ・オリエンターリ DOC(イタリア品質レベル2)やコッリオ・ゴリツィアーノDOC(イタリア品質レベル2)などにおいても主原料として使用されている品種です。

リースリング

リースリング(Riesling)は、ドイツ原産のドイツの代表的白葡萄品種であり、最も著名な白ワイン用の品種の一つです。ドイツやフランス・アルザス地方では定番の品種とされています。この品種とは無縁の、より品質の劣ったリースリングと名のつく葡萄品種と区別するために、本来のこの品種を「ライン・リースリング」(Rhine Riesling)、「ホワイト・リースリング」(White Riesling)という品種の呼称で呼ぶこともあります。味わいは、この品種独特な上質の強い果実香(アロマ)と、しっかりした酸味が特徴で、爽やかな辛口から甘口の仕上がりワインまで多様なものが造り出されています。その性質は、冷涼な気候の地域を好み、小粒で晩熟性が強い品種であるとされていました。しかし、近年オーストラリアにおいて、冷涼とは言えない地域のクレア・ヴァレー(Clare Valley)で栽培が成功し、この品種によって大変高い評価の仕上がりワインが製造されています。

ルビー・カベルネ

ルビー・カベルネ (Ruby Cabernet)は、黒葡萄の1品種で、カリニャンとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配種です。オーストラリアで、内陸部の暑い土地で栽培されています。色が濃いためブレンド用とされる品種で、単一種で仕上げたワインはこれまでには存在していません。

S

サンジョヴェーゼ

サンジョヴェーゼ(Sangiovese)は、イタリアで最も栽培面積の多い赤ワイン用の代表品種です。果皮の色の違いを含め数多くの亜種を持ちます。中央イタリアのトスカーナ州域が主産地ですが、イタリアでは広く栽培されています。イタリアで最も有名なブランドの一つである「キャンティ(Chianti)をはじめ、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」(Brunello di Montalcino) や「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ」(Vino Nobile di Montepulciano) 、「モレッリーノ・ディ・スカンサーノ」(Morellino di Scansano)などの銘柄が生産される主原料品種として著名です。コルシカ島では、「ニエルッキオ」(Nielluccio)として知られています。

ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon Blanc)は、白ワイン用では栽培面積世界第三位の品種です。主にフランスのボルドー域や、ロワール地方域で栽培されています。ロワール地方では、「ブラン・フュメ」と呼称されています。また近年、香り(アロマ)の強いニュージーランド産(主にマールボロ:Marlborough地区)の品種が世界的に話題になりました。そもそもこのソーヴィニヨン・ブランの香り(アロマ)は、「青草のよう」、「ハーブのよう」などと言われますが、「雄猫のよう」「猫のおしっこのよう」などとも表現されることもあり、香り(アロマ)に特徴があります。中でもピーマンに似たと言われる香り(アロマ)はメトキシピラジン(Methoxypyrazine)に由来するとされています。この品種を使用したカリフォルニア産ワインにはオーク樽で寝かせられるものが多くあり、このため品種の持つアロマと樽の持つフレーバーがより複雑に交錯します。このオーク樽を使用し製造されたカリフォルニア産ワインで、近年ロバート・モンダヴィが名付けた銘柄「フュメ・ブラン(Fume Blanc)」は、大ヒットし大変著名な銘柄となりました。実の色の異なる「ソーヴィニヨン・ヴェール」(Sauvignon Vert)や、ソーヴィニヨン・グリ(Sauvignon Gris)なども同種として知られています。

セミヨン

セミヨン(Sémillon)は、ボルドー起源の白ワイン用葡萄品種です。ボルドー地方ソーテル地区、クラ―ヴ地区で栽培されている白葡萄品種です。他の品種と混交されることも多い品種です。果皮が薄いため、貴腐化しやすい品種として著名で、貴腐ワインの原料葡萄品種としても著名です。オーストラリアではシャルドネの次に多く栽培され、ハンター・ヴァレー産のワインは特に著名です。

サルタナ

サルタナ(Sultana)は種無しで、ワインの他、レーズン、生食、蒸留酒にも利用される多用途の白葡萄の品種です。カリフォルニアではトンプソン・シードレス(Thompson Seedless)と呼ばれています。この品種は2年目の枝(ケーン(cane))の根元に近い芽から芽吹いた枝葉(シュート:shoot)に実が付きにくいので、ケーンを長く保つように剪定されます。仕上がりワインは、フレッシュな印象を感じさせてくれることが特徴の品種ですが、個性に乏しい(ニュートラル)ため、低価格のワインの混交用として主に使用されています。

シラー

シラー(Syrah)は「シラーズ」(Shiraz)とも呼ばれる赤ワイン用の代表的な品種の1つです。シラーズはイランの都市名ですが、この品種はフランス・コート・デュ・ローヌ地方域が原産の品種です。ローヌ地方域の代表的な品種である他、現在ではオーストラリアでは「シラーズ」と呼称され、最も良質な銘柄を仕上げている品種として著名です。総栽培面積では、フランス・ローヌ地方と、オーストラリアが2大栽培地域と言えますが、現在の栽培地域は広く、南アフリカ、チリなどでも栽培されています。果皮は濃い紫色を帯びたガーネット色です。香り(アロマ)は、プラム、ブルーベリー、ブラックベリーのジャム、黒胡椒と表現されます。タンニンとフルーティさのバランスが良く、フルボディで香味が強く、タンニンはしっかり目でコクがある力強い味わいの仕上がりワインが造られます。カベルネ・ソーヴィニヨンに比べタンニンが「新鮮な風味」でスパイシーに感じるのが特徴です。他の品種との混醸や混和(混交)にもよく使用されます。栽培される気候や風土によって味が異なることも特徴で、生産地域による味わい、風味の変化を楽しめる品種でもあります。ローヌ渓谷北部域のコート・ロティやエルミタージュの他、オーストラリア産品種による銘柄が著名です。その性質は、果実が熟するとしなびやすく、それが取り扱いの弱点とされています。

T

タナ

タナもしくはタナット(Tannat)は、フランス南西地方域で主に栽培される葡萄品種です。フランスの他にはウルグアイで優良銘柄ワインを仕上げる重要な品種とされ使用されています。仕上がりワインの味わいは、タンニンに富むものです。

テンプラニーリョ

テンプラニーリョ(Tempranillo)は、スペイン原産の代表的黒葡萄品種です。スペイン国内では広く栽培されていますが、特にリオハが知られています。近年では、フランスのラングドッグ地方、ポルトガルでも栽培されています。「早熟」という言葉の意味のリハオですが、その性質は、熟成により味わいが深まりまることが特徴で、香り(アロマ)は、チェリー、プラム、西洋梨、ドライフルーツと表現され、その立ち上がりが高く、強い酸の中に、ほどよいタンニンの渋味があり、バランスの良い、繊細な味わいでありながら華やかな個性を持つ長期熟成型の仕上がりワインが造られます。

トレッビアーノ

トレッビアーノ (Trebbiano) は、白ワインに使われる葡萄品種で、イタリアではソアーヴェ(Soave)やオルヴィエート(Orvieto)といった白ワインが造られるだけでなく、赤ワインにも混交されます。「ユニ・ブラン」(Ugni Blanc)の呼称でも知られ、フランスではコニャック(Cognac)やアルマニャック(Armagnac)といったブランデーの原料品種としても栽培されています。葡萄の房の先が二股になるので他の品種と区別しやすいのが特徴です。

V

ヴェルディッキオ

ヴェルディッキオ (Verdicchio)は、イタリア中部マルケ州を中心にイタリア各地で栽培される白葡萄品種です。トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェやトレッビアーノ・ヴェルデ、ペヴェレッラなど、別名呼称が多数存在します。スティルワイン以外にも、スパークリングワインやストローワインの製造に使用されています。近年ブラジルでもわずかに栽培され始めた品種です。

ヴェルメンティーノ

ヴェルメンティーノ (Vermentino)は、サルデーニャ島、コルシカ島、イタリア北西部およびフランス南部域を中心に栽培される白葡萄品種です。ピガートやファヴォリタ、ロールやヴェルマンチヌなど、別名呼称も多く。米国やオーストラリアなど、「ニューワールド」と言われる地域でも栽培されている品種です。

ヴィオニエ

ヴィオニエ(Viognier)は、主にフランス・コート・デュ・ローヌ地方原産の品種です。現在でもこの地で栽培されています。桃や杏といった印象を語られる強い香り(アロマ)が特徴の葡萄品種です。主としてフランスのローヌで、コンドリューやシャトー・グリエといった非常に小さな地区で使用されています。比較的栽培量の少ない品種ですが、近年アメリカ・カリフォルニアやオーストラリアなどでの生産量が増え、この2地域でも香り(アロマ)を印象的に立たせた仕上がりワインが造られています。酸味が少ないため醸造が難しい品種とも言われています。シラーズにわずかにブレンドされ使用されることが多い品種です。

X

クシノマヴロ

クシノマヴロ(Xinomavro)は、ギリシャのマケドニア地方域で主に栽培される赤ワイン用の品種です。ピノ・ノワールの類縁種とも言われています。その味わいは、酸味が強く、色は美しい濃紅色で、長熟することでリッチな仕上がりワインとなります。ギリシャでは最良のワイン用品種の一つとされ重用されています。おもな産地としてナウサ(Naoussa)、グーメニサ(goumenissa)、アミィンテオ(Amyntaio)などがあります。

Y

ヤマ・ソービニオン

ヤマ・ソービニオンは、1990年に山梨大学が作出した黒葡萄品種です(品種登録番号第2457号)。日本では、ヨーロッパ系ワイン専用品種の栽培が歴史的に容易ではなく、その栽培には、気候風土への適応とともに日本固有の病害虫への耐性を加えなければならなかった工夫と努力がありました。ヤマ・ソービニオンは、それらを克服しながら、母系品種を日本原産在来種のヤマブドウVitis coignetiaeと、父系品種をカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)として交雑し、実を選抜し作出されたものです。

Z

ツヴァイゲルト

ツヴァイゲルト(Zweigelt)は、オーストリアで生み出された黒葡萄品種で、ブラウフレンキッシュ(Blaufränkisch)とサン・ローラン(St. Laurent)の交配品種です。1922年にツヴァイゲルト博士により開発されました。この品種の性質は、耐寒性に優れ、比較的新しい品種ながらオーストリアでは最も定番な品種とされています。また、日本でも、北海道や東北などの寒冷なワイン産地域で栽培されています。「ツヴァイゲルトレーベ」(Zweigeltrebe)という別名で呼ばれることもあります。

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